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血液内科を専門としない医師にとって,血液疾患は「よくわからない」と敬遠されがちなイメージをもたれているかもしれない.ただ,日常診療において貧血,白血球増多,血小板減少や,リンパ節腫脹,発熱など,さまざまな血液検査異常や臨床症状を呈した患者さんが一般内科を受診することは少なくない.あるいは無症状で受けた健康診断での血液検査,腹部超音波検査,CT検査,消化管内視鏡検査などを契機として血液疾患が診断されることも稀ではない.血液内科を専門としない医師の場合,これらの異常所見を認めた際に,そもそも「血液疾患」を疑うことが難しいことがありうる.あるいは血液疾患かもしれないと思っても,確証がないために血液内科専門医への紹介のタイミングに迷うことも想像される.これらの症例のなかには,緊急を要する場合もあれば,逆に慌てる必要のない場合もある.一方,すでに血液疾患で診療されている(されていた)患者さんの,血液疾患以外の一般的な診療を依頼されることもある.これらのさまざまなパターンで血液疾患の患者さんが,血液内科を専門としない医師を受診した際の診療上のポイントを理解いただき,血液疾患に対する「苦手意識」を少しでも払拭してもらうことは,より効率的な医療連携を行ううえで重要であり,ひいては患者さんの医療上の利益に繋がると考えられる.
本特集では「血液疾患を見逃さないために」と題して,血液内科を専門としない医師が日常診療で遭遇しうる状況を想定して項目を構成し,それぞれの分野で第一線で活躍されている先生方へ執筆をお願いした.特に,最初の「血液疾患患者に対する一般診療上の注意点」の章では,すでに血液疾患と診断されている患者さんの診療を依頼された場合に留意すべきエッセンスをまとめた.次に,「血液疾患を疑う症候・病変の診かたと紹介のタイミング」としてさまざまな部位別の病変など,血液内科以外を初めて受診することが想定されるケースについてまとめた.さらに,「さまざまな症候・画像所見の診かた・考え方と紹介のタイミング」「血液検査値異常の考え方と紹介のタイミング」の章で症候および検査異常に基づく考え方を取り上げた.座談会では福島県白河市で総合内科医を中心に血液内科医としても診療されている東光久先生,岐阜市の総合病院で血液内科医として活躍されている笠原千嗣先生,および都内のがん専門病院に勤務している編者で,それぞれの地域や環境における血液疾患の特徴や医療連携の実情などについて話し合った.
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