特集 看護を語る 看護を創る
扉
西村 ユミ
1
1首都大学東京健康福祉学部看護学科
pp.602-603
発行日 2014年12月15日
Published Date 2014/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200018
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看護は,さまざまな場所で,さまざまな状況で,さまざまな人々によって語られている。看護師同士で情報を交換したり申し送ったり相談をしたりしたときに,後輩の指導をしようとしたときに,自分の実践を振り返るような事態が起こったときに…。それらは,看護実践のあるスタイルを表現しているが,多くは実践に埋めこまれている。
私は,このスタイルを探求するため,多くの看護師の語りを聴き取ってきた。わくわくするような語り,ドキドキする語り,しんみりする語り等々,いろいろな語りがあった。例えば,終末期にあって苦しむ患者のその状態をなんとかしたいと思いながらも,何もできないまま看取ったとき,自分の存在や実践を自ら問わざるを得なくなる。それが,インタビューの場で語り出されると,その語りに促されてその意味が捉え直される。それと同時に,何をすることが看護であるのかが発見される。感覚的に把握した患者の意識状態は,科学的な根拠がないとされ,言葉にしたり記録にとどめたりするのが難しいことが多い。ある看護師がその感覚を語り始めたとき,とめどなく芋づる式に言葉が生み出されてきて,驚いた。語り手自身も驚いていた。
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