特集 内科医のためのクリニカル・パール3
救急・総合診療
総合診療のクリニカル・パール
桑間 雄一郎
1
1Mount Sinai Beth Israel Hospital, Internal Medicine
1Mount Sinai Beth Israel Hospital, Internal Medicine
pp.1599-1601
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225098
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全医師に必要な「大きな目」と「小さな目」
医学界に“evidence based medicine”という言葉が殴り込みをかけてから約30年が経った.統計的な手法を用いた臨床疫学が医学の隅々まで普及することで,さまざまな医療行為の効果が客観的かつ具体的な数字として語られるようになった.言わば「大きな目」で医療行為の大枠,すなわち全体像を把握することができるようになったのである.
一方で,実際に目前の患者に医療を施す際には,この大枠をしっかりと把握したことが前提で,繊細な問診と診察を実施し,そして患者を取り巻く環境までも鑑みた医療のアート,言わば医師の勘を付け加えていくことになる.この勘の技量は,日々こつこつと良い診療を繰り返すなかで医師が獲得していくものだ.経験を積めば積むほど,絶妙な臨床の勘を発揮できるようになる.これは,“experience based medicine”と呼ぶべき技量であり,繊細な「小さな目」での観察や医療実践である.
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