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Ⅰ.緒論
耳鳴と難聴との関係深いことはいろいろと記載されている。Fowler14)は耳鳴の存在は多少とも難聴と関係があり,ある場合には耳鳴自体が難聴をきたすといい,耳鳴は難聴の増加とか潜在性難聴の兆候で後には変性をきたすような変化の早朝刺戟と考えるとし,難聴の治療はまた耳鳴の治療改善になると。Athkinson11)は耳鳴はauditory paresthesyで活動性障害を意味し難聴の進む恐れがある重要な症状であると。Kopetzky21)は末梢器官より大脳までの聴覚経路のいずれかで難聴をきたすような原因が,音の生理的刺戟と同様の刺戟に交換され耳鳴という感覚を起すのであろうとし,Hilding20)は被蓋膜のInsertion(固着性)の研究では耳鳴と難聴の起きる箇所は一致すると。Neuberger24)は耳鳴と難聴とは宿命的なくらいに関係があり同様の性質の現象ならんと。滝本4)によれば168例の耳鳴を訴えるもののうち,難聴を訴えなくともその50%に聴損を認め,聴力像が正常でも約3箇月の中に約20%に難聴発生の可能性があると。河村3)は外因による耳鳴の観察では常在性または間歇性耳鳴があつて他覚的難聴の認められたものは86%で,耳鳴があれば大部分に難聴があると。永浜7)は236例中,無難聴性耳鳴は14例で,約94%に聴損があるといい,Reed25)も耳鳴と平均聴力損夫との関係をみて,92.5%に聴力の悪化があると。
難聴の聴力測定結果と耳鳴との関係については三島,都築10)のハルトマンC列音叉によるものでは平均聴力による観察で,一定の成績は得られなかったと。永浜7)は気導閾値の平均聴力損失では感音性耳鳴は聴力損失の小なるものが多かつたが,これは平均聴力損失を採用したためといい,聴力損失が小なるほど発現率が低く大なるほど発現率が大になるといい,伝音性耳鳴では聴力損失が大なるほど発現率が多くなるとはいえなかつたと。Caliceti13)は耳鳴と難聴とについては症例の72.5%に,耳鳴がより難聴側に存在し,難聴の軽度な側に12.5%,両側および頭部に存在したものが15%であつたと。
In 98 cases of tinnitus aurium (including nonvibratory, true, intrinsic and subjective) about 50% of them complained of unilateral tinnitus while deafness was found in both ears; and 26.5 % of cases reported bilateral tinnitus and the deafness existed in both ears.
Concerning the relation of tinnitus to deafness, it was found that in most cases in unilateral deafness tinnitus occurred on the deaf side, 72.4% to 75.6%; and, in bilateral deafness the tone of tinnitus was complained to be louder on the side in which the degree of deafness was found to be more advanced.
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