書評
—林 清二 監修 倉原 優 著—COPDの教科書—呼吸器専門医が教える診療の鉄則
川島 篤志
1,2
1福知山市民病院研究研修センター
2福知山市民病院総合内科
pp.1086
発行日 2017年6月10日
Published Date 2017/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224977
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著者の倉原優先生を紹介する際には,質の高い有名なブログから始まることが多い.隠れファンの1人である筆者も,「コストを意識した吸入薬の一覧表」がSNSでアップされていたことをきっかけにコンタクトを取らせてもらった.が,実はまだお会いしたことがない.しかし,そのアプローチが奏功したのか,今回,本書の書評を書かせていただく貴重な機会を頂戴した.医師不足・偏在の存在する地域基幹病院の病院総合内科医として勤務している立場からすると「呼吸器専門医が教える診療の鉄則」であるこの書籍の存在はとても心強い(呼吸器専門医の不足・偏在については日本呼吸器学会からも提言がなされている:http://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=58).
COPDのアウトラインについて,歴史や定義だけでなく+αの病態(話題のACOS/CPFE)にも触れておられ,さらには禁煙支援,リハビリテーション・栄養療法,そして人生の最終段階の医療の方法についても言及されているので,“疾患だけでなく,人を診る”ことを意識させてくれる.非呼吸器内科医が毛嫌いする可能性のある吸入薬についても,臨床試験結果をコンパクトにまとめながら,薬価や使い勝手についても併記されている.図表や写真が多用されているので,高い質で頭を整理するには最適の項目である.さらに第Ⅲ部「ちょっと知りたいCOPDの実臨床」には,「前立腺肥大症の併存」など,現場の悩みを共感してくれている臨床的な書籍である.
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