書評
—谷口清州 監修 吉田眞紀子,堀 成美 編—感染症疫学ハンドブック
岡部 信彦
1,2
1川崎市健康安全研究所
2元・国立感染症研究所感染症情報センター
pp.649
発行日 2016年4月10日
Published Date 2016/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224129
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感染症疫学とは,文字通り感染症を対象として,その感染症が「1)普通ではない状況にある時」「2)予想外の問題が発生している時」「3)社会的にインパクトがあり公衆衛生的対策が必要な時」「4)迅速な対応が求められる時」などに,担当者が“発生現場で”その原因を追究し(犯人の特定とは異なる),再発防止策を提言するために駆使する疫学です.これはすなわち,実地現場での疫学─FieldでのEpidemiology─である,と言えます.
近年エボラ出血熱,MERSなどが国内外で大きな話題となりましたが,そのような場面ではもちろん患者の診断と治療がまず重要です.診断と治療は医療の担当ですが,その拡大の防止,そして火を消し,再発防止のための方策を考えることが,実地疫学の担当になります.
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