特集 内科医がになう骨粗鬆症—診療と生活指導の最新情報
続発性骨粗鬆症
CKD-MBDと骨粗鬆症
濱野 高行
1
1大阪大学大学院医学系研究科腎疾患統合医療学
pp.465-469
発行日 2016年3月10日
Published Date 2016/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223993
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ポイント
●骨粗鬆症の多くがCKD(chronic kidney disease;慢性腎臓病)である.CKD自体が骨折リスクで,薬剤治療によるNNT(number needed to treat;治療必要数)が小さいため真に治療を考慮すべき集団である.
●クレアチニンは腎機能の指標であるが,筋肉量でも規定されるので,筋肉量の少ない患者では,シスタチンCで腎機能を評価したほうがよい.
●CKD-MBD(mineral and bone disorder;骨ミネラル代謝異常)による骨代謝異常の種類は多岐にわたるが,保存期では線維性骨炎をはじめとする高回転骨が主体で,皮質骨が特に脆弱化する.
●CKDではまずPTH(parathyroid hormone;副甲状腺ホルモン)を計測し,一般的な骨粗鬆症薬を使いはじめる前に,PTHを活性型ビタミンDなどで管理する.特に骨吸収抑制薬はPTHをさらに上昇させるからである.
●CKDでは,腎機能に影響されない骨代謝マーカーを使うべきである.骨形成マーカーではBAP(骨型アルカリホスファターゼ)やPINP(Ⅰ型プロコラーゲン-N-プロペプチド),骨吸収マーカーではTRACP-5b(酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ)である.
●CKDでは,SERM(選択的エストロゲン受容体作動薬)やビタミンDの投与量を減らすべきであるし,デノスマブの副作用の低Ca血症は重篤である.またCcr(クレアチニンクリアランス)が30mL/分未満ではビスホスホネートの使用に慎重になるべきである.
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