書評
—岩田 健太郎 訳—本質のHIV—(原著:HIV Essentials 2014, 7th ed)
徳田 安春
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1独立行政法人 地域医療機能推進機構本部 総合診療
pp.28
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223887
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HIVの標準診療のやり方がすべて網羅されている本
治療薬の開発のおかげで,HIV感染症はいまやコントロール可能な併存疾患となった.しかも,新規感染患者は増加してきているので,感染者全体の数はどんどん増えてきている.もはや,感染症専門医のみがHIV感染患者を診療するというのではなく,総合系の医師もHIV診療に関与する必要性が出てきている.実際,総合系の医師は,急性HIV感染の診断,ニューモシスチス肺炎などの日和見感染症の患者の治療を行うことが多かった.今後は,ART療法の導入に加え,HIV感染の合併症治療,治療薬の副作用などの診断と管理などを,総合系の医師も行う必要性が出てきている.
そこで必要となるのは,標準診療を行うためのエッセンスが記載されているリソースであろう.それがこの本の役割である.これが手元にあれば,HIVの標準診療がただちに実施できる.検査について,適応,実施頻度,結果の解釈,耐性検査についての迷いを解決できる知識ベース.治療についても,第一選択薬の組み合わせと具体的な用法・用量,そして通院フォローの頻度,副作用や治療の失敗への対策など.また,他の薬剤内服中の患者についての薬剤間相互作用の注意点,曝露前後の予防,妊婦での感染対策などもすぐに調べることができる.もちろん,急性HIV感染の診断アプローチに加え,さまざまな日和見感染症の治療法も表に整理されており,すぐに見つけ出すことができる.
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