連載 総合診療のプラクティス 患者の声に耳を傾ける・12
薬剤性の疾患は,薬剤開始直後に起きるとは限らない
松岡 保史
1
,
見坂 恒明
2
1自治医科大学地域医療学センター総合診療部門
2神戸大学大学院医学研究科地域医療支援学部門
pp.1376-1378
発行日 2015年7月10日
Published Date 2015/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223627
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
生物にとって,病を癒すことが重要であることは言うまでもありません.動物は本能的に草を食み,傷口を舐めます.それは長い時を経て,次第に人間らしい知恵のある医療行為,薬剤の使用へと進化しました.薬を英語で言うと「medicine」ですが,他に「まじない」という意味があるところに,進化の過程が想像できます.
19世紀初頭,植物から有効成分の抽出に成功し近代薬学が始まり,1866年にベンゼン環の構造が解明されると,1897年にアセチルサリチル酸(アスピリン)が合成され,近代的合成化学が始まりました1).それ以降,次々に新しい薬剤が生まれましたが,それと同時に有害事象も増えていきました.薬剤性有害事象の頻度は全患者の10%前後という報告もあり2),患者を診察する際に薬剤使用歴の確認はきわめて重要です.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.