書評
—兼本成斌 著—はじめての心電図—第2版増補版
福田 恵一
1
1慶大・循環器内科
pp.1053
発行日 2015年6月10日
Published Date 2015/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223539
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心電図を初めて勉強する者は,心臓の電気活動がどのように心電図の波形になるのか,なかなか理解し難いものである.また,心電図学の入門書は多く,どの本を勉強すべきであるのかわからない.結局は心電図の本を読破できずに,何となく苦手としている者が多いのではないだろうか?
本書はわれわれの研究室の大先輩である兼本成斌先生が,多くの臨床経験と長年の学生教育を通して書き上げたロングセラーとなる心電図学入門のための名著である.このため,心電図の取り方から始まり,心電図波形の呼び方,誘導法,心筋の興奮と心電曲線という基礎中の基礎から容易に学べる特徴を有している.本書を読んでいるうちに心電図の波形がどのように構成され,その波形の異常がどのような疾患と結びついているのか,自然と頭に入る仕組みとなっている.読者は「心電図は難しい」などの意識をもつ前に本書を通読することができるので,心筋梗塞や不整脈の心電図を容易に理解できるようになっている.心筋梗塞の部位と心電図の対応も初学者には頭を悩ませるものであるが,本書を読めば心臓の解剖学的位置と3本の冠動脈の走行,心電図の電極の位置が理解できるようになり,むしろクイズのように判読するのが楽しくなる.
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