カンファレンス
心不全兼ヂギタリス中毒兼腸管出血
森永 武志
1
,
吉崎 正
1
,
太田 怜
1
,
福田 圀如
2
,
上野 幸久
1
,
吉本 和夫
3
,
大橋 常安
4
,
布施 為松
5
,
小沢 啓
6
1自衛隊中央病院内科
2自衛隊中央病院呼吸器
3自衛隊中央病院小児科
4自衛隊中央病院
5自衛隊中央病院外科
6自衛隊中央病院臨床検査課
pp.209-213
発行日 1965年2月20日
Published Date 1965/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203539
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森永武志(司会,内科医長)ただ今から第253回CPCを行ないます.患者は心不全があり,ジギタリス中毒のために入院し,経過中に大量の下血の来し死亡した症例です.では担当の吉崎医官にお願いします.
吉崎正(内科,担当医官)患者:池○政○,75歳,♂臨床診断:冠不全兼ヂギタリス中毒兼腸管出血.家族歴:父,脳溢血,姉,高血圧,心臓喘息.既往歴:35年1月,下血吐血3000cc,原因不明.36年7月,心弁膜症,不整脈.38年2月,脳軟化症,左半身不全麻痺.現病歴:39年2月末感冒にかかり,それがきつかけとなつて心不全症状が出現したので,ヂギトキシン1日1錠ずつ服用,3月8日より3日間は間違つて3錠ずつ服用したところ,嘔気,嘔吐,食思不振,徐脈等が起こつた.某医の来診を受け,ダイアモックス内服,セジラニッド静注等の治療にて軽快せず,3月14日,中病内科へ入院す.主訴:呼吸困難(起坐呼吸),胸部挾扼感,嘔吐,腹満感,腹痛,下痢,乏尿.入院時現症:るいそう高度,栄養著しく低下.脈搏34,整,緊張良,平熱,結膜に貧血,黄疸認めず.口唇爪にチアノーゼなし.心濁音界は左が前腋窩線まで拡大.心尖部で収縮期および拡張期性雑音聴取.両後下肺野で湿性ラ音.上腹部やや膨隆し,肝2横指触知,腹壁下肢に浮腫を認めるが,胸水,腹水は証し得ず.尿量500cc,水様便,血圧152/54.検査成績:便,せん血反応(−).
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