増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
微生物学的検査
ウイルス関連検査
ヒトパピローマウイルス(HPV)遺伝子
川名 敬
1
1東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座
pp.595-597
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223397
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検査の概要
ヒトパピローマウイルス(HPV)には,100種類以上の遺伝子型genomic typeがある.皮膚に感染するHPVを皮膚型,外生殖器や性器粘膜,気道粘膜に感染するHPVを粘膜型という.粘膜型HPVのうち,子宮頸がん,肛門がん,外陰がん,腟がん,中咽頭がんなどのがんから検出されるHPVをハイリスクHPV,尖圭コンジローマなどの良性乳頭腫から検出されるHPVをローリスクHPVと呼ぶ.図1に示すようにHPVの系統樹をみると皮膚型と粘膜型,ハイリスクとローリスクによって形成される病変は全く異なることがわかる1).したがって,HPV遺伝子型を推定することは診断に有用である.
HPV感染症においては,血清抗体検査が商業ベースで存在しないことから,病原体診断としてHPV遺伝子検査(HPV検査)が臨床現場で普及している.HPV検査は,HPVグルーピング検査とHPVタイピング検査に大別される.
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