検査ファイル
〈項目〉ヒトパピローマウイルス(HPV)
石 和久
1
,
喜納 勝成
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院検査科
pp.166-167
発行日 1990年2月1日
Published Date 1990/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900044
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はじめに
ヒトパピローマウイルス(HPV)は,約7,900塩基対の2本鎖DNAを持つDNA腫瘍ウイルスである.HPVは現在までのところ,通常の血清学的な分類が困難であるためウイルスDNAの類似性と制限酵素による切断パターンからタイプ分類が行われており,約50種類以上が知られている.HPVは,各タイプごとに感染を起こす部位と疾患が特異的である.このうちで婦人科領域における主なものは,尖圭コンジローマからはHPV6または11,dysplasiaおよび子宮頸癌からはHPV16または18が同定されている.またHPV31,33,35も子宮頸部および外陰部の癌組織から検出され,実験的にも悪性化しやすいタイプとされている.さらに,耳鼻科領域ではHPV30または40が喉頭癌に,皮膚科領域ではHPV39または52がBowen病,Bowenoid papulosisに関与しているとされている1,2).
現在日常検査としては,細胞診にてHPV感染を疑い,これらの症例に対してコルポスコピーを用いた組織学的検査,細胞または組織を用いた免疫学的検査,電顕あるいはDNA hybridization法のいずれかにより確定診断を行っている.
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