増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
微生物学的検査
細菌同定検査
質量分析による細菌同定
野村 文夫
1,2
,
村田 正太
1
1千葉大学医学部附属病院検査部
2千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学
pp.518-520
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223369
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検査の概要
一般細菌の同定に用いられてきた従来の生化学的手法は結果を得るのに,例えば腸内細菌の場合は平均18時間と長時間を要する.核酸配列の解析などによる分子生物学的手法は正確であるが,いまだ高コストかつ煩雑であり,ルーチン検査には適していない.
これに対して,マトリックス支援レーザー脱離イオン化(matrix-assisted laser desorption/ionization:MALDI)と飛行時間型(time-of-flight:TOF)質量分析計を組み合わせたMALDI-TOF MSによる同定法は簡便性,正確性に優れ,迅速(10分以内)かつ低ランニングコストで多くの分離菌種の同定が可能であり,近年急速に普及している.また,一般細菌のみならず,真菌,抗酸菌のデータベースも充実しつつあり,臨床微生物検査に大きなパラダイムシフトが起きている1).
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