増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗アクアポリン4抗体
高橋 利幸
1
,
藤原 一男
2
1国立病院機構米沢病院神経内科
2東北大学大学院医学系研究科多発性硬化症治療学講座
pp.443-444
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223342
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検査の概要
抗アクアポリン4(aquaporin 4:AQP4)抗体は,視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorders:NMOSD)の病因かつ疾患マーカーである.特異性はきわめて高く,実臨床では,NMOSDが疑われる場合,あるいは原因不明の中枢神経病変を認める場合に測定され,陽性であればNMOSDの診断がほぼ確定する,といった運用がなされている.NMOSDは視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)の疾患概念が拡大されたものだが,名前に反して脳病変も珍しくなく,誤解を招きやすい疾患名である.当初は,視神経と脊髄に病変が限局すると考えられていたためNMOと呼ばれてきたが,抗AQP4抗体の発見後,NMOの部分症と考えられる例(視神経炎や脊髄炎単独例)や,脳病変を有する例でも抗AQP4抗体が陽性になることがわかり,それらを含めてNMOSDと呼称することとなった.
現時点で通用しているNMOの診断基準(表1)1)と,NMOSDの原案(表2)2)を示す.なお,NMOSDの原案は「こういった例で抗AQP4抗体が陽性になりうる」というものであり,診断基準ではないため,その後の定義は研究者によって異なることに注意が必要である.抗AQP4抗体測定は,国内では主に,AQP4を強制発現させた細胞を用いた間接蛍光抗体法(cell-based assay:CBA)が各施設で行われてきたが,2013年11月にRSR社のenzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)が保険適用となった.
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