増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
免疫複合体
秋山 雄次
1
1埼玉医科大学リウマチ膠原病科
pp.440-442
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223341
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検査の概要
免疫複合体(immune complex:IC)とは抗原に抗体が結合した抗原抗体複合体と,それに補体成分が結合した抗原抗体補体複合体をいう.生体に侵入した病原微生物などの異物を排除する際にICが形成されるが,効率的に処理されないと後述するように組織の障害を引き起こす可能性がある.血中の抗原抗体複合体は,複合体中の免疫グロブリンが他の複合体と次々に架橋し巨大な複合体を形成する可能性がある.しかし血中に存在する補体がICと反応すると複合体上に補体分解産物のC3bを結合・発現する.C3bやC3dはICが他の免疫グロブリンと架橋するのを防ぎ,かつ複合体の中に入り込みサイズを小さくし可溶化する.大きなICも可溶化され,赤血球の補体レセプター(CR1)によって補体部分を捕捉され血漿中より吸着される.赤血球上のICは肝臓や脾臓に運ばれ,そこでⅠ因子の作用によって赤血球から解離されFcレセプターや補体レセプターを有する単球,樹状細胞,マクロファージ,肝Kupffer細胞などによって貪食され処理される.
Ⅲ型アレルギーが病態に関与していることが疑われたとき(表1),補体や他の必要な検査とともに測定する意義がある.疾患活動性や治療効果の判定に有用である.
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