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抗アクアポリン4抗体と視神経脊髄炎
三須 建郎
1
,
藤原 一男
1
1東北大学大学院医学系研究科 多発性硬化症治療学
pp.1276-1279
発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200003
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概説
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)は,視神経と脊髄を病変の主座とする炎症性疾患であり,多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の亜型と考えられてきた.2004年にNMOに極めて特異性の高い抗体(NMO-IgG)が発見され,2005年にその対応抗原がアクアポリン4(aquaporin-4:AQP4)であることが報告された1).AQP4抗体は神経系に比較的多く発現する水分子を選択的に通す膜蛋白質(水チャンネル)であり,特にアストロサイトの足突起に発現して血管内皮や軟膜下を裏打ちするように神経系に広く発現している.NMOの早期炎症性病変においては,補体であるC9neoの沈着する血管周囲でAQP4は欠落し,同部位ではアストロサイトの脱落も確認され,脱髄に先行してアストロサイトが障害される病態であることが明らかとなっている.また,NMO患者血清から抽出したヒトIgGをラットに投与すると,特にヒトIgGや補体が沈着する血管周囲でAQP4やアストロサイトの脱落がみられ,実際に生体内で病原性を有する抗体であることが明らかとなっている.
NMOはMSで有効性が証明されているインターフェロン(interferon:IFN)やフィンゴリモドなどで病勢が悪化することが報告されるなど,抗AQP4抗体の測定は,神経系の炎症性疾患の診断や治療法の選択などにおいて必須の検査項目となっている.
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