増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗DNA抗体
窪田 哲朗
1
1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科生体防御検査学
pp.402-403
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223325
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検査の概要
通常の右巻き2重らせん構造をしたdouble-stranded(ds)DNAは,正常のヒトや動物には抗原性がない.すなわち,dsDNAを投与しても抗dsDNA抗体は作られない.しかし,1950年代から,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)の患者は高力価の抗dsDNA抗体を産生することが知られ,SLEの診断に有力な指標として測定されている.また,多くのSLE症例では抗dsDNA抗体の力価が疾患活動性を反映して変動することから,治療効果の判定にも有用で,経過を追って定期的に測定されていることが多い.
最近のわが国の臨床検査では,主にFarr法を応用したradioimmunoassay(RIA)の“抗DNA抗体”定量と,enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)法によるIgG “抗dsDNA抗体”定量の2種類が用いられているが,いずれの方法も使用している抗原はdsDNAである.なお,ELISA法では,single-stranded(ss)DNAと反応する抗体や,IgMクラスの抗体の測定も可能であるが,これらの臨床的意義は確立していない.
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