増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗DNA抗体
佐藤 和人
1
1日本女子大学保健管理センター,食物学科(臨床栄養)
pp.574-575
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906476
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗DNA抗体は,細胞核のDNA成分に対する抗体であり自己抗体の一つである.全身性エリテマトーデス(SLE)をはじめとする自己免疫性リウマチ性疾患において出現するが,特にSLEにおいて疾患の診断,活動性の評価,治療効果の判定に重要な指標となる.抗DNA抗体は2本鎖DNA(dsDNA),1本鎖DNA(ssDNA),および稀に左巻きDNA(zDNA)に対する抗体が存在する.抗DNA抗体はその反応性から①dsDNAのみと反応する抗体,②dsDNAとssDNAの両者と反応する抗体,③ssDNAのみと反応する抗体に一般的に分類される.このなかで①②のdsDNAに対する抗体が臨床的には最も重要な意義をもつ.抗dsDNA抗体は通常の場合,ssDNAとも反応するため②のタイプとして存在する.①のdsDNAのみと反応する抗体はごく稀である.抗dsDNA抗体はDNA構造の糖-リン酸骨格部と反応し結合する.抗dsDNA抗体はアメリカリウマチ学会(ACR)のSLE分類基準項目の一つに挙げられている.一方,ssDNAのみと反応する抗体(DNAの塩基配列に反応するIgMクラスの抗体など)は,SLE以外の自己免疫性リウマチ性疾患や薬剤誘発性ループスでも高率にみられるため,疾患特異性は低い.
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