増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
薬物関連検査
血中薬物濃度
強心薬
山口 諒
1
,
山本 武人
1
,
鈴木 洋史
1
1東京大学医学部附属病院薬剤部
pp.308-309
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223291
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
検査の概要
強心薬のなかで,血中薬物濃度測定が一般的に行われている薬剤はジゴキシンのみである.ジゴキシンは有効血中濃度域が狭いため,きわめて厳密な血中濃度コントロールを必要とする.しかしながら,ジゴキシンの体内動態は個体差が大きく,剤形によりバイオアベイラビリティが異なることが知られている.また,多くの薬物と相互作用を起こし,血中濃度,薬剤感受性が変動する.そのため,TDM(therapeutic drug monitoring)による濃度測定・投与量調整が有効な薬剤である.
特に,小児においては成長とともに体内動態が大きく変化する.例えば,ジゴキシンの半減期は新生児期では35〜70時間であるが,生後1年では15〜30時間となり,また,同時期の小児の体重当たりの分布容積は成人の1.5〜2倍程度であることが知られている.そのため,小児期,なかでも新生児期は最もTDMが必要な時期であると言える.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.