増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
酵素,肝機能検査
コリンエステラーゼ(ChE)
榎奥 健一郎
1
1東京大学医学部附属病院消化器内科
pp.202-203
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223253
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検査の概要
コリンエステラーゼ(cholinesterase:ChE)はコリンエステル類を加水分解する酵素であり,生体内にはアセチルコリンエステラーゼとブチリルコリンエステラーゼの2種類がある.
アセチルコリンエステラーゼは神経組織や赤血球に存在し,アセチルコリンをコリンと酢酸に分解する.アセチルコリンは運動神経や副交感神経の末端から放出される神経伝達物質である.神経末端から放出されたアセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼにより速やかに分解される.毒ガスの一種である神経ガスはアセチルコリンエステラーゼを阻害し,アセチルコリンを分解・除去できなくしてしまう.その結果,神経伝達が阻害され筋肉が正常に動けなくなる.症状としては瞳孔収縮,痙攣などが生じ,さらに進むと呼吸筋が動かなくなり窒息に至る.アセチルコリンエステラーゼは真性コリンエステラーゼと呼ばれることもある.
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