増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
窒素化合物,腎機能検査
シスタチンC,ペントシジン
篠﨑 康之
1
,
古市 賢吾
2
,
和田 隆志
3
1金沢大学附属病院腎臓内科
2金沢大学附属病院血液浄化療法部
3金沢大学大学院医薬保健学総合研究科血液情報統御学
pp.188-191
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223248
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シスタチンC
検査の概要
血清シスタチンCは分子量13.3kDaの低分子蛋白である.全身の有核細胞から一定量が産生され,腎臓の糸球体を通過する際にそのほとんどが濾過されて尿中に排泄される.そのため,シスタチンCは腎機能,すなわち糸球体濾過量(glomerular filtration ratio:GFR)の評価に用いられている.
従来から腎機能の評価として用いられている血清クレアチニンは,筋肉に含まれるクレアチンから非酵素的に産生されるため,筋肉量の影響を考慮する必要がある.またクレアチニンはシスタチンCと同様に糸球体での濾過により尿中に排泄されるが,一部は尿細管からも尿中に分泌される.シスタチンCは筋肉量による影響は受けず,尿細管での分泌や再吸収による影響も少ない.これまでの報告によると,クレアチニンよりもシスタチンCを用いた腎機能評価のほうが,特に早期の腎機能低下を鋭敏に検出する.慢性腎臓病は末期腎不全および心血管イベントのリスク因子であることが知られているが,クレアチニンよりもシスタチンCを用いた推算GFR(eGFR)による腎機能評価のほうが,これらのリスクを正確に評価できる1).
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