増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
蛋白
免疫電気泳動
藤田 清貴
1
1群馬パース大学保健科学部検査技術学科
pp.130-133
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223227
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検査の概要
免疫電気泳動とは,ゲル内沈降反応の1つの様式であって,抗原抗体反応にあずかる反応因子(抗原または抗体,その両方)が電気泳動法によって分離される過程(支持体電気泳動法)とゲル内沈降反応(オクタロニー法)とが組み合わされた分析方法を総称している.一般的には免疫電気泳動という場合,Grabar-Williamsの方法を指す.免疫電気泳動が診断上最も有力な武器となるのは,質的異常を示すM蛋白血症であるが,泳動条件,操作法を一定にすることにより量的異常を示す異蛋白血症の分析にも有用である(表1).また,未知の蛋白の同定やその電気的易動度などを知るうえでも有力な手段として用いることができる1).
免疫電気泳動で最も大切なことは,得られた沈降線をいかに判読するかである.血清,尿などの試料を用いて免疫電気泳動を行った場合には,それぞれの沈降線がどの蛋白成分であるかを知る必要があり,かなりの熟練を要する.実際に市販の抗血清を用いた場合,正常ヒト血清では通常20〜30本の沈降線が観察される(図1).沈降線の現れ方は,使用した抗血清の種類やロット差などによって多少異なった結果が得られる.したがって,用いる抗血清の特徴,すなわち,どの蛋白成分の沈降線が出現しやすく,あるいはまったく認められないかをよく吟味することが大切である.
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