増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
内分泌機能検査
152.血中TSH,TRH試験
内村 英正
1
1東京大学医学部・臨床検査医学
pp.2000-2001
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222841
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●血清TSH濃度
甲状腺機能の主要な調節系は視床下部,下垂体甲状腺系であり,血中TSHの測定は甲状腺疾患の診断,治療のために最も重要なものである(図1).ヒトTSHは分子量約28,000でα,βの2つのsubunitからなり,β-subunitはTSHに特異的である.TRHの刺激により下垂体で産生,分泌されその調節は上位視床下部からのTRHおよび下位甲状腺からはT3,T4によりnegative feedbackのコントロールを受けている.
測定法は近年,モノクローナル抗体を利用したイムノラヂオメトリックアッセイあるいはイムノエンザイモメトリックアッセイなどのいわゆるサンドイッチ法が用いられるようになり,測定感度,特異性が格段と進歩したことにより,その測定の臨床的有用性はさらに増加した.新しい測定法の原理は,固相化した特異的な抗体と125Iや化学発光物質で標識した抗体とで検体TSHをサンドイッチ状にはさみその複合体を検出するものでサンドイッチ法と呼ばれる.原理上は検出機の性能がよければ固相化された抗体に結合した1分子のTSHでも検出することが可能である.
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