増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
内分泌機能検査
153.甲状腺ホルモン
橋本 琢磨
1
1金沢大学医学部・臨床検査医学教室
pp.2002-2004
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222842
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
臨床検査で甲状腺ホルモンを測定する意義は,まず第1にGraves病やその他の原因によるhyperthyroidismの診断,治療に用いたり,クレチン症などの甲状腺機能低下症の診断,治療のモニターとして用いることにある.第2義的には,非甲状腺疾患での重症度の判定に甲状腺ホルモンの測定が行われることである.T3およびT4は,そのほとんどがTBG(thyroxine binding globulin)をはじめとするcarrier proteinと結合しており,わずかにT3の0.3%,T4の0.03%が遊離型(free T3,free T4)として存在する.甲状腺ホルモンがその生理作用を発揮するのは,TBGなどのcarrier proteinに結合しているものではなく,この微量の遊離型のものである.1978年以来,FT3,FT4のradioimmunoassay(RIA)が開発され,今日では日常検査として広く臨床で応用されている.本稿では,FT3,FT4測定の臨床検査診断学的意義を記述しつつ,FT3,FT4RIAの問題点,さらに非甲状腺疾患における低T3血症,低T4血症について記述する.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.