特集 脳の化学的トポグラフィー
TRH
中井 康光
1
,
塩田 清二
1
Yasumitsu Nakai
1
,
Seiji Shioda
1
1昭和大学医学部第一解剖学教室
pp.210-214
発行日 1986年6月15日
Published Date 1986/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904858
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TRHは視床下部ホルモンの中で最初に構造決定された,pGlu-His-Pro-NH2なるtripeptideである1,2)。TRHは脊椎動物の中枢神経系に広く分布している。視床下部に高濃度に存在し,下垂体門脈系血管を介して,TSHのみならず種々の下垂体ホルモンの分泌調節に関与していることが明らかにされてきている。また,TRHニューロンは視床下部以外の脳各部に広範囲に分布していることが,radioimmunoassay(RIA)法や免疫組織化学的研究によって証明されており,いろいろな中枢神経作用を有していることが薬理学的研究などで示されている。TRHニューロンの分布と構造ならびにTRHのホルモン作用と中枢作用について,われわれの観察所見を中心に文献的考察を加えて述べる。
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