増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液化学検査
141.エラスターゼ
高阪 彰
1
1名古屋大学医学部・臨床検査医学
pp.1970-1971
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222830
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●異常値を示す疾患
エラスターゼはエラスチン(水に不溶性の硬蛋白)を加水分解して可溶化する蛋白分解酵素であり,ヒトでは膵,白血球,脾,動脈壁,皮膚などに存在し,臨床的には血清中の膵エラスターゼ蛋白量の測定が利用されているが1,2),最近,白血球エラスターゼの測定3)も可能になった.
膵エラスターゼは膵の腺房細胞にプロエラスターゼとして局在し,膵液として十二指腸に分泌されトリプシンにより活性化され,消化酵素として利用される.膵には性質の異なるエラスターゼIおよびIIが存在する.分子量や酵素的性質が異なり,免疫学的にも非交差性である.エラスターゼIは分子量約3万でanionicな糖蛋白であるのに対し,エラスターゼIIは分子量約2万5千のcationicな蛋白である.現在はエラスターゼIの測定が可能である.膵エラスターゼIが血清中に増量する疾患を表に示す.
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