増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液化学検査
113.胆汁酸
松崎 靖司
1
,
田中 直見
1
,
正田 純一
1
,
大菅 俊明
1
1筑波大学臨床医学系・内科
pp.1898-1899
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222802
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- 文献概要
胆汁酸は肝細胞において特異的にコレステロールより生成され,胆汁中に排泄される.腸管に放出された胆汁酸は回腸末端を中心とした腸管より約95%が再吸収され,門脈を経て肝細胞に効率よく摂取される.閉鎖的腸肝循環を行うため,胆汁酸の大循環系への漏出は,末梢血中で10μM以下と微量である.したがって,もし肝障害が存在すれば,肝細胞による胆汁酸摂取率が低下し,末血中胆汁酸濃度は増加する.腸管からの吸収が正常と仮定すると,この現象は肝機能検査として利用できる.近年,血清胆汁酸微量定量法が確立され,日常臨床において広く利用されるようになってきた1).
3αの位置にOH基をもつ胆汁酸は15種類ある.この3α-OH胆汁酸総量を計り込む測定法(酵素法)と個々の胆汁酸を計る測定法(高速液クロ法,GC法,GC-MS法)などがある.酵素法では個々の胆汁酸が増加しても包括的に測定できる利点があり,分画測定は個々の胆汁酸の動きをみるときに有用である.
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