臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅷ.血液化学検査
106.胆汁酸
松崎 靖司
1
,
大菅 俊明
1
,
三田村 圭二
1
,
井廻 道夫
1
Yasuji Matsuzaki
1
,
Toshiaki Osuga
1
,
Keiji Mitamura
1
,
Michio Imawari
1
1筑波大学臨床医学系・内科
pp.2356-2357
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219427
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胆汁酸は肝細胞において特異的にコレステロールより生成され,閉鎖的な腸肝循環を行っている.腸管から再吸収された胆汁酸は門脈血に入り肝に戻るが,肝による摂取率は70〜90%で,残りは大循環系に漏出し,末梢血における濃度は10μM以下である.したがって,もし肝障害があれば,肝細胞による摂取率が低下し,末梢血中胆汁酸濃度は増加する.この現象は肝機能検査として利用できる.近年,血清胆汁酸の微量測定法が確立されたので,日常臨床において広く利用されるようになってきた1).
血清胆汁酸は正常では15種類あるが,すべて3αの位置にOH基を持っている.このことを利用して,3α-OH胆汁酸総量を計り込む測定法(酵素法)と,個々の胆汁酸を計る測定法〔ラジオイムノアッセイ法(RIA),高速液クロ法〕などがある.酵素法では個々の胆汁酸が増加しても包括的に測定できる利点があり,RIA法は単一の胆汁酸の動きを見るのに便利である.
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