呼吸器疾患診療メモ
喘息死の予防
松本 強
1
,
宮城 征四郎
2
1沖縄県立南部病院・呼吸器科
2沖縄県立中部病院・呼吸器科
pp.1424-1425
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222637
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喘息が致死的疾患であることは意外に知られていない.あの著名な内科医であるWilliam Osler博士でさえ,喘息死はあり得ないとそのテキストに明言したほどである.喘息は3,000年も前から知られている病気であるが,喘息死が注目されるようになったのは過去50年足らずのことである.
私どもの病院で,過去に3回も喘息重症発作のため挿管および人工換気を受けたAさんが,たまたま某病院に入院した.病気を心配して尋ねるAさんに,主治医は笑顔でこういったそうである.「大丈夫,喘息は絶対死なないから」.青ざめたAさんが私どもの病院に逃げ帰ってきたのはいうまでもない.Bさんは喘息大発作のため,一命はとりとめたが,低酸素性脳症のため3年間植物状態で入院している.皮肉なことに,その後喘息そのものは発作を起こさない.たった一度の大発作が,50歳のBさんのその後の人生を無為にしたのである.
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