今月の主題 膵・胆道疾患の臨床
膵・胆道疾患診療の基本
膵・胆道疾患の身体的所見のとり方
辻井 正
1
,
中山 雅樹
1
1奈良県立医科大学・第3内科
pp.1272-1275
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222598
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腹部画像診断手技のめざましい発達により,膵・胆道系疾患の診断過程において,腹部の一般診察はややもするとなおざりにされやすい傾向にある.しかし,いずれの場合においても,まず正確に身体的所見をつかみとることは,速やかな病態把握,的確な検査ならびに治療方針を決定するうえできわめて重要である.また,腹部の不定愁訴の背後に潜む膵・胆道系悪性腫瘍を早期に診断したり,心身症あるいはノイローゼなどに起因する非器質的疾患を除外診断するうえでも,入念な身体的所見の把握は詳細な病歴聴取とともに診断過程の基本であることに変わりはなく,われわれ臨床医は常に患者の最終診断を身体所見にフィードバックさせ,腹部の診察技術の向上に努めねばならない.
本稿では膵・胆道系疾患において高頻度に出現する腹痛,腫瘤触知,黄疸の際の身体所見からみた鑑別診断の要点を中心に述べる.
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