今月の主題 内科エマージェンシー
疾患からみた内科エマージェンシー
神経疾患
脳炎
山崎 正博
1
1北野病院・神経内科
pp.1180-1181
発行日 1989年7月10日
Published Date 1989/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222564
- 有料閲覧
- 文献概要
脳実質の炎症である脳炎には種々のものが含まれ,いろいろな観点から分類されている1).重症度別にみると,意識障害が強く特異的な症状を呈し,重篤で予後不良である単純ヘルペス脳炎(HSE;herpes simplex encephalitis)や脳膿瘍から,神経親和性の腸炎ウイルスや風邪ウイルスにより髄膜炎症状が目立ち,軽症で予後良好な非特異性ウイルス脳炎まで,幅広い臨床スペクトラムがみられる.感染様式からは,原発性脳炎と,先行感染やワクチン接種後に続発する傍感染性(parainfectious),後感染性(postinfectious)脳炎に分類され,感染部位別には,大脳炎,小脳炎,脳幹脳炎に分類される.さらに,経過からみて亜急性,慢性脳炎に分類されるものに亜急性硬化性全脳炎(SSPE;subacute sclerosing panencephalitis)や進行性多巣性白質脳症(PML;progressivemultifocal leucoencephalopathy)など重要なものがある.
これらの中で日常診療で診断あるいは治療上neurological emergencyとして問題になるのは単純ヘルペス脳炎や脳膿瘍であり,本稿ではこれらを中心に述べる.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.