今月の主題 輸血の実際と血液製剤
内科医のための輸血の実際
Plasmapheresisの適応
飯野 靖彦
1
1東京医科歯科大学・腎センター・第2内科
pp.606-607
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222399
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●Plasmapheresis(PP)とは
PPは一般に血漿交換療法と呼ばれているが,語源的には血漿plasmaと除去apheresisを結合した言葉である.つまり,plasmapheresisは瀉血などの血液除去法を源として発展した.瀉血の基本的考え方は,疾病の原因が血液中の毒性物質にあり,その除去により疾病の治癒が期待できるとの発想からきており,部分的には現在の血漿交換療法に通じている.当初は皮膚の乱切や静脈切開によっていたし,中世にはヒルが用いられることもあった.また,米国大統領Washingtonの死亡の際にも,2日間に41という大量の瀉血が行われたという1).しかし,現代医療の発展とともに瀉血の意味が失われ,現在ではほとんど行われていない.
全血ではなく血漿成分だけを除去しようという試みは,Johns Hopkins大学のAbelによって行われた2).血漿分離には遠心分離法と膜分離法があるが,とくに日本の線維メーカーが優秀なため,膜分離法が主流を占めるようになった(図).しかし,それぞれの分離法には特徴があり,目的によって使い分けが行われている.さらに最近では,血漿の特定成分を除去する吸着剤を用いた選択除去法も開発されている.
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