今月の主題 輸血の実際と血液製剤
内科医のための輸血の実際
手術時の輸血のガイドライン
湯浅 晋治
1
1順天堂大学医学部・輸血学
pp.608-612
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222400
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全血輸血から成分輸血へと転換してから十数年を経,一般の輸血では成分輸血が定着してきたが,手術時の輸血となるとまだ問題なしとはいえない.すなわち外科手術では全血が失われるのだから,やはり全血で補うという伝統的な考えが一部にある.しかし今日では,どのような症例であろうと,輸血が必要だからといってただ漫然と全血を輸血することは,臨床的にもはや正当化されるものではない.患者の必要とする成分のみを輸血することは医学的に合理的のみならず,輸入に大きく依存している血漿製剤の国内確保にもっながるもので,とくに外科・手術においては濃厚赤血球の適応と使用を促進することが重要である.
血液製剤の適正使用についてはすでに厚生省のガイドラインが出ているが,ここではとくに外科・手術の際の輸血について述べる.
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