今月の主題 輸血の実際と血液製剤
血液製剤の入手と管理
血液製剤の入手法
浅井 隆善
1
1千葉大学医学部・輸血部
pp.560-561
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222384
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●献血事業の歴史1)
わが国における血液事業は,昭和23年に起こった輸血による梅毒感染事件を契機に,血液銀行の設置と保存血液の供給などの輸血対策に取り組むようになった.昭和26年に民営の血液銀行が設置されたのが,血液銀行の始まりであり,翌27年には日本赤十字社直轄の東京血液銀行が設置された.その後,血液銀行は各地に設置され,昭和38年には公民合わせて47にまで増加した.しかし,当時,保存血液の大部分は売血によって得られたものであり,「黄色い血液」の問題に代表される輸血用血液の品質の低下や,輸血後肝炎の発症などの弊害が増加してきた.したがって,昭和39年には,閣議決定により,血液事業を献血によって行うことを決定した.この後,厚生省の指導のもとに,日本赤十字社と地方公共団体とが協力して,血液製剤を献血によって確保するようになった.昭和60年には,国民総人口に対する献血者数の割合は7.2%と,世界に誇れるまでに至っている.
しかし,近来の医療における血液製剤の需要の増加は著しく,製剤の種類によっては,国内の献血血液では足りず,輸入製剤に頼っているのが実状である.ちなみに,WHOでは,1975年に無償を基本とする国営の血液事業の推進を,また,1983年には,自給自足を原則として,自国内で献血者を動員することを提言している.
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