今月の主題 高脂血症と動脈硬化
動脈硬化の診断
螢光スペクトルによる診断—光感受性物質とレーザーによる動脈硬化の検出
奥仲 哲弥
1
,
会沢 勝夫
2
,
小中 千守
1
,
加藤 治文
1
,
早田 義博
1
1東京医科大学・外科
2東京医科大学第2生理
pp.434-435
発行日 1989年3月10日
Published Date 1989/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222360
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●光線力学的診断治療法
腫瘍親和性光感受性物質であるヘマトポルフィリン誘導体(HpD)は,光照射によって励起状態となり,これが基底状態に戻る際に螢光を発すると同時に,組織内の酵素を励起し,活性酸素を生ずる.この螢光スペクトルを測定することにより,腫瘍の局在を把握することができ,また活性酸素によって癌組織を変性壊死に陥らせる1).一般に励起光源には,その単色性,高輝度性,可干渉性という点からレーザー光を用いる.筆者らの施設では1980年1月以来,肺癌を中心に300を超える症例に対し,この光線力学的診断治療法(PDT)を施行し,1986年には世界で初めて,PDT単独治療による早期肺癌患者の5年生存例を経験している2).その一方で,非腫瘍性病変に対するHpDの親和性に関しては,ほとんど報告がない3〜5).筆者らは非腫瘍性病変に対するHpDの適応として,粥状硬化に着目し,近年開発した血管内視鏡螢光分光装置を用いて,粥状硬化に対するHpDの集積性を検討した.
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