今月の主題 輸液・栄養療法
栄養輸液の基本的ルール
高カロリー輸液におけるビタミン投与のありかた
島田 慈彦
1,2
1北里大学薬学部
2同東病院・薬剤部
pp.2804-2806
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222233
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わが国で高カロリー輸液療法(TPN)が開始されて約20年が経過しようとしている.当時は基本輸液(電解質加高濃度糖液)の調製に先ず細心の注意が払われ,さらに,鎖骨下静脈からのカテーテル装着などの手技と感染防止,そしてカテーテルの材質などの研究,開発などが行われてきた.その後,1979年,80年と続いて基本輸液が発売となり,今日では,数種類の市販製剤の中からある程度選択して使い分けられるようになってきている.また,当初は外科中心で実施されていたものが,各科で広く行われるようになるにつれ,臨床栄養学として確立され,糖質,アミノ酸,脂肪乳剤,微量栄養素を含む総合栄養輸液剤として多くの研究,臨床治験が報告されるようになった.
内科領域においても,経口投与あるいは経腸栄養剤投与が不能,もしくは不適当な疾患や末期癌患者の管理にquality of lifeの目的で施行される例が多くなってきた.さらにCrohn病で代表される炎症性腸疾患,外科手術後内科転院の短腸症候群などの患者で経腸栄養剤で管理できない例,また腸管安静を目的としてTPN療法が実施されることもある.これら対象となる疾患の多くはもともと栄養状態が悪く,しかも長期に及ぶことが多い.
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