今月の主題 腎疾患診療の実際
Editorial
腎疾患患者の診療に際して
丸茂 文昭
1
1東京医科歯科大学・第2内科
pp.2572-2573
発行日 1988年11月10日
Published Date 1988/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222172
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今はSchweitzerのようにあわれみをもって患者を診る時代ではなく,患者が医師を選ぶ時代にきている.このごく当たり前のことが,全ての病院,とくに大学病院などの大病院の医師に十分認識されているだろうか.私は私立大学と国立大学の両方を経験しているが,外来で診察をしていて,あまり"お待たせしました"という言葉を聞いていない.国立大学ではことさらそうである."3時間-3分-3時間"というのは悪いジョークとしても,患者を待たせていることは事実なのだ.なのに何故このような簡単な言葉すら出にくいのであろうか.ここに大病院とくに国公立病院のかなりのドクターの問題点が象徴的に現れているように思うのであるが,如何であろうか.
次に問題なのは,腎臓の病気が歩いてくるのではなく,病気をもった患者が診察に訪れるのだということである.というのは回診をしていると,時に"鹿追う猟師は山を見ず"のたとえを思い起こすからである.人体を総合的に診る習慣を養わなければならないであろう.総論的なことはこれくらいにして,具体的な診療の問題点に入る.
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