増刊号 診断基準とその使い方
X.神経・筋
15.正常圧水頭症
田代 邦雄
1
1北海道大学医学部・神経内科
pp.2228-2229
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222073
- 有料閲覧
- 文献概要
■疾患概念と疫学
正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus,以下NPH)はAdams, Hakimら(1965)により提唱された概念で,痴呆,歩行障害,失禁を3主徴とし,髄液圧が正常を示す交通性水頭症であり,髄液短絡術により治療可能な痴呆症として注目を集めるようになった.
本邦においては1978年より厚生省特定疾患特発性脳室拡大調査研究班が発足し,ここでいう特発性脳室拡大とはNPHの概念にあたり,「成人において,脳室は拡大しているにもかかわらず髄液圧は正常範囲内にあり,神経症候として精神症状(dementia),歩行障害,尿失禁の症候を備えているか,あるいはそのうち2つの症候を備えているもの」(森安信雄班長,総括研究報告より)と定義され,NPHの成因,治療,予防に関する全国レベルの研究が開始されている.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.