増刊号 診断基準とその使い方
IX.腎・尿路
35.透析アミロイドーシス
下条 文武
1
,
荒川 正昭
1
1新潟大学医学部・第2内科
pp.2190
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222054
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- 文献概要
■診断基準(案)(表1)
■疾患概念
アミロイドーシスとは,β-構造を示す特異なアミロイド蛋白が細線維を形成して,細胞間隙に沈着する疾患をいう.最近,長期血液透析患者に手根管症候群を典型的な症状とする骨・関節症状が発症し,その病変部には,通常の透析では除去されないβ2-microglo-bulinを構成成分とするアミロイドの沈着がみられることが明らかにされた1,2).さらに,β2-microglobulin由来のアミロイド沈着は骨・関節部位にとどまらず,内部実質臓器にも及ぶことが知られるようになった.したがって本症は,全身性のアミロイドーシスと理解される.そして長期の(血液)透析患者にみられることから,透析アミロイドーシス(dialysis amyloidosis)と呼称される.
従来,全身性アミロイドーシスは,免疫グロブリンL鎖をアミロイド蛋白とするALタイプ,アミロイドA蛋白のAAタイプ,異型アルブミンのAFタイプの3つに分類されていたが,本症は4番目の新しいタイプに位置づけられる.このアミロイドはβ2-micro-globulinを構成蛋白とすることから,"AB"の略称が適当と考えられる(表2).
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