今月の主題 水電解質と酸塩基平衡
酸塩基平衡の基礎と臨床—最近の話題
呼吸性アシドーシス,アルカローシスの病態生理
𠮷田 稔
1
1福岡大学医学部・第2内科
pp.796-798
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220344
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組織における物質代謝の結果,産生されたCO2は換気作用により,肺胞より大気中に放出され,動脈血CO2分圧,Paco2は正常域,35〜45mmHgに保たれる.したがって,肺胞換気量が急激に減少するようなことがあれば,Paco2は上昇してくる.このように呼吸が原因でCO2(炭酸H2CO3)が増加し,水素イオン濃度H+が増加した状態が呼吸性アシドーシスである.これに対し,血中のCO2(炭酸H2CO3)の減少した状態が呼吸性アルカローシスである1-3).その原因が呼吸性であれ,代謝性であれアシドーシスの結果pHが低下した状態が酸血症であり,逆にアルカローシスによりpHが上昇した状態がアルカリ血症である.このように呼吸性の酸・塩基調節は動脈血中のCO2分圧,pHとの関連において評価される.そこで,まず生体内でのCO2運搬の機序について述べる.
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