増刊号 診断基準とその使い方
VII.血液
8.赤血球増加症
平嶋 邦猛
1
1埼玉医科大学・第1内科
pp.2020-2021
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221987
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■診断基準
赤血球増加症は正確には赤血球量の増加を示す場合に限って用いられるべき用語である.ヘマトクリットなどの末梢血液の測定値の上昇はあるが赤血球量の増加はないような病態が存在し,これを偽性赤血球増加症(spurious erythrocytosis),また相対的赤血球増加症,ストレス赤血球増加症,Gaisböck症候群と呼ぶ.真の赤血球増加症は顆粒球系と血小板系の増加をも伴った骨髄増殖性疾患である真性多血症(polycythemiavera;PV)と2次性赤血球増加症(secondaryerythrocytosis)に分類することができる(表1).
末梢血の検査所見での血球数の上限値をどこにおくかについて,自動血球計数器により得られた正常値±2倍の標準偏差の数値をその目安とすると,赤血球増加症を疑って検査を進めるべき数値は,赤血球が600万/μl(男子),550万/μl(女子)以上,ヘモグロビン量18g/dl(男子),16g/dl(女子)以上,ヘマトクリット52%(男子),47%(女子)以上となる.真の赤血球増加症の診断には,循環赤血球量の測定が必要で,51Cr-クロム酸ナトリウムによる赤血球標識法により測定するのが一般的である.正常値は,女子25±5ml/kg,男子30±5ml/kgである.
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