増刊号 診断基準とその使い方
V.内分泌
33.ACTH不応症
田苗 綾子
1
1国立小児病院・内分泌代謝科
pp.1932
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221957
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■疾患概念と疫学
ACTH不応症は内因性および外来性ACTHに対し副腎皮質におけるグルココルチコイド反応が欠如している状態をいう.病理学的にみると,副腎束状層と網状層の萎縮が著明で,球状層が比較的保たれているか,束状層と球状層の区別がっかず全体に萎縮性で,すべてが球状層細胞から成っているなどの副腎低形成がみられるので,ACTHレセプターの異常による疾患として注目された原発性副腎疾患である.
遺伝的要因が強く同胞発症がみられること,生下時よりの皮膚色素沈着,塩喪失症状,低血糖症がみられることから,先天性ACTH不応症congenital adrenocortical unresponsiveness to ACTH1),あるいは家族性グルココルチコイド分泌不全症familial glucocorticoid insufficiency2),アルドステロン分泌が正常に保たれていることからcongenital,familial syndrome ofadrenocortical insufficiency without hypoaldosteronismなどと報告されてきた.同胞発症例で発病前には副腎からのコルチゾール分泌が正常であることから,本症は他の副腎低形成同様に発症は進行性の変性過程が示唆されている.
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