増刊号 診断基準とその使い方
V.内分泌
24.甲状腺ホルモン不応症
和泉 元衛
1
,
長瀧 重信
1
1長崎大学医学部・第1内科
pp.1916-1917
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221948
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■診断基準(表参照)
■疾患概念と疫学
甲状腺ホルモン不応症は生体の各器官,組織細胞が甲状腺ホルモンに対して反応が低下している症候群である.下垂体も甲状腺ホルモンに対して反応が低下しているため,下垂体からのTSH分泌は甲状腺ホルモンによって抑制されにくい.その結果,血中TSHは増加し,甲状腺を刺激し,甲状腺肥大を起こし,甲状腺ホルモンの分泌を増加させる.血中の甲状腺ホルモンが増加しているにもかかわらず,なおTSHの分泌は抑制されにくく,血中TSHは増加ないし正常値を示している.全身型では下垂体以外の全身の各器官,組織も甲状腺ホルモンに対して反応が低下しているため,血中に甲状腺ホルモンが増加しているにもかかわらず,甲状腺機能亢進症のような代謝亢進状態とはならず,代謝状態は正常ないし低下状態を示す.
一方,下垂体のみが甲状腺ホルモンに対して反応が低下した場合,血中に増加した甲状腺ホルモンに対して,下垂体以外の全身組織が反応し,甲状腺機能亢進症と同じような代謝亢進状態を示す(下垂体型).
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