増刊号 診断基準とその使い方
V.内分泌
23.Werner症候群
奥山 牧夫
1
1稲沢市民病院
pp.1914-1915
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221947
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■疾患概念と疫学
1904年Otto Wernerは低身長,老人様顔貌,若年性白髪,若年性白内障,強皮症様皮膚変化,四肢の筋ならびに結合織の萎縮,閉経早発を主徴とする4症例を"Über Katarakt in Verbindung mitSklerodermie"の題の下に報告した.1934年OppenheimerとKugelは同様の症例を追加するとともにWerner症候群の名称を提唱した.1966年Epsteinらは,それまでの報告122例に自験3例を加えて文献的考察を行い,本症の臨床的特徴として以下の各項を指摘した1).すなわち,①低身長,②皮膚の萎縮と角化症,③足部の皮膚潰瘍,④白髪,禿頭ならびに全身性の脱毛,⑤白内障,⑥四肢における筋,脂肪組織,骨などの萎縮,⑦音声の変化(high-pitched voice),⑧骨粗鬆症,⑨軟部組織の石灰化,⑩Möncheberg型の血管石灰化,⑪性機能低下,⑫耐糖能低下などである.他に各種の良性ならびに悪性腫瘍を伴いやすいことも指摘している.病理学的所見としては皮膚付属器ならびに皮下脂肪の萎縮,著しい粥状硬化症,Möncheberg型の動脈硬化症,心臓弁の石灰化,精細管の高度萎縮などを挙げている.
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