一頁講座 話題の疾患
Werner症候群
後藤 眞
1
1都立大塚病院リウマチ膠原病科
キーワード:
DNAヘリカーゼ
,
早老症
,
生活習慣病
Keyword:
DNAヘリカーゼ
,
早老症
,
生活習慣病
pp.879-880
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109060
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- 文献概要
Werner症候群は,ドイツの眼科医Otto Wernerが,若年性白内障と皮膚硬化をきたした4人兄弟を報告したのが最初である.Werner症候群は,家系調査から,単一遺伝子の突然変異による常染色体劣性遺伝病であることが推定されたが1),遺伝子部位が第8常染色体短腕8p12に2),遺伝子がRec Q型DNAヘリカーゼに決定された3).70%の患者の両親は,従兄弟結婚である.この90年間に,世界各地で1,200例の患者が確認されたが,日本に患者の70%が集中している4).
Werner症候群は,ヒト老化の代表的モデル疾患(早老症)とされているように,驚くべき多彩な生活習慣(成人)病が,20歳前後から,いかにも遺伝的に決定されている正確さで,図にまとめられるように,時間的にきわめて規則正しく発症する.その臨床症状の規則正しい出現は,ちょうど胎児や子供の成長発育の過程が,見事に時間的に統制されているように,思春期以降,さまざまな老人様の徴候が,通常のほぼ倍のスピードで,ある規則性を持って出現してくる.WRN遺伝子は老化調節,あるいは老化抑制遺伝子と推定される.
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