講座 胃癌診断・3
胃癌はどこまで救命できるか—各種検診方法と救命率・発見率・効率との関係
西澤 護
1
,
志賀 俊明
2
1東京都がん検診センター
2東京都がん検診センター内科
pp.1102-1104
発行日 1988年6月10日
Published Date 1988/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221728
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
前号(25巻5号)で,胃集検対象者すなわち健康人全例に細径パンエンドスコープを精密検査レベル(1日,10人)で行った場合発見された胃癌の救命率は86%,胃集検の立場では73%〜83%(ただし進行癌の5生率50%,早期癌の5生率100%とした場合)と推定された.また,毎年確実に逐年検診を行った同一集団(職域)では,X線検査のみでスクリーニングおよび精密検査を行った場合の救命率は75%,細径パンエンドスコープをスクリーニングに組み入れた特殊な方式をとれば96%まで救命率を上げることができることを述べた.
しかし,救命率(a)だけでは,救命しうる癌をどの位みつけたかはわからない.すなわち,多数の人数をこなしても助かる癌の数が多くなくては,癌の死亡率の減少につながらない.すなわち,救命しうる癌の発見率(b)が必要である.さらに上述の値は,検診方法の違いによる仕事量も一定でない.そこで,一定の仕事量からどの位癌が発見されるかという効率(c)も無視できない.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.