研究報告
野菜附着蛔虫卵の各種洗滌方法による除去率について
小宮 義孝
1
,
和泉 精一
1
1国立予防衛生研究所
pp.109-112
発行日 1954年6月15日
Published Date 1954/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201427
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私たちが日常ふつうに生食する野菜の品種は調べて見ると意外に多く,特に蛔虫感染に密接な関係を有する白菜,大根その他の葉根菜が全年間を通じ又は殆ど年間を通じて出廻つており,又これらの市販品から蛔虫仔虫期卵が証明されている以上(小宮,小島,1954)かような野菜附着蛔虫卵の消毒ないし除去は蛔虫感染予防の重要問題である。然るに蛔虫卵の化学的処理による殺滅は,未だなお実際に普及するまでには至つていない。又熱処理も仲々に行われがたい事情がある。そこで最も実用的な簡便な方法は野菜附着蛔虫卵を水洗して器械的に之を除去する方法であるが,この問題に関しては小田(1927),千葉(1928),斉藤等(1950)等の報告がある。即ち小田は蛔虫卵浮游液を作り之れを菜園の白菜に撤布し,之等の白菜をゴム管を硝子捧の両端に結合してD型とした摩擦器で摩擦しながら洗滌する方法を6回反復し,又別に水道放出水で洗滌しその減卵度を見た。之れによると前者では1回摩洗で約70-80%,2回のそれでその90%以上を減卵し,又放出水による水洗の場合には大体2回摩洗したものと同様の減卵を示した。
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