今月の主題 肝炎への新しいアプローチ
慢性肝炎へのアプローチ
慢性肝炎の予後判定と管理
瀧野 辰郎
1
,
香川 恵造
1
,
奥野 忠雄
2
1京都府立医科大学・第3内科
2明石市民病院・内科部長
pp.848-851
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221677
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慢性肝炎はわれわれが日常診療で取り扱う肝疾患のうちで最も患者数の多い疾患である.慢性肝炎の病因としてはウイルス,薬剤,アルコール,自己免疫異常,代謝異常などがあげられ,その病態は決して単純なものではない.従って,慢性肝炎の管理においては,その病因を十分に把握し,経過や予後を熟知しておく必要がある.たとえば,自己免疫性肝炎の代表であるルポイド肝炎はきわめて活動性が強く,進行性で早期に肝硬変に移行しやすいが,ステロイド療法により効果が期待できるものである.しかし,これを日常の診療でみる慢性肝炎と同一視することは問題が多いように思われる.一般に,本邦における慢性肝炎はその多くがウイルス起因と考えられており,この点については犬山シンポジウムの診断基準にもり込まれているとおりである.
本稿では,慢性肝炎の予後判定について概説し,同時に慢性肝炎患者の生活面での指導についても述べてみたい.
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