今月の主題 肝炎への新しいアプローチ
急性肝炎へのアプローチ
薬剤性肝炎—鑑別診断
宮村 拓郎
1
,
浪久 利彦
1
,
内田 重行
1
,
駒田 敏之
1
,
中島 恒子
1
,
北見 啓之
1
1順天堂大学・消化器内科
pp.806-809
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221664
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多種多様の薬剤が使用されている今日,薬剤使用例に発生した急性肝障害においては,薬剤の種類にかかわらず,常にその関与を考慮する必要がある.薬剤性肝炎は中毒性とアレルギー性とに大別分類されるが,薬剤の発売に際して厳重なチェックが行われている現在では,いわゆる肝臓毒に属する薬剤による肝障害をみることは少ない.しかし,イソニアジドによる代謝性特異体質異常反応型の肝障害や,スルホンアミド類,PAS,フェナセチン,リファンピシン,性ホルモン,蛋白同化ステロイドなどによるビリルビン代謝障害型の肝障害,また,テトラサイクリン系抗生物質,抗腫瘍薬,アセトアミノフェンなどの大量服用時に起こる中毒性肝障害は現在でもみられるものであり,このような中毒性肝障害の存在は常に念頭におかねばならない1).これら少数の中毒性肝障害を除けば,実地臨床の場で遭遇する薬剤性肝障害のほとんどはアレルギー性であり,以下にその特徴とウイルス性肝炎との鑑別点について,自験例,すなわち薬剤アレルギー性肝炎276例,急性B型肝炎50例,急性散発性非A非B型肝炎20例との比較検討した成績を中心に述べた.
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